特別セッション
第13回日本LCA学会研究発表会では、以下の特別セッションを設ける予定です。奮ってご参加下さい。
環境情報研究会では、環境情報(データ)に焦点を絞り、これら環境情報をどのように学術的に活用していくべきかについて議論を進めており、本特別セッションでは環境情報の活用の在り方を検討すべく研究課題を広く募集する。
● 食品・農業分野の横断的LCA
食品・農業分野においては、温暖化と相関があり、そのためのさまざまな対策がとられています。一方、温暖化への貢献も含めた新しい農業技術、品質管理を意識した食品管理技術、さらには産物の付加価値化のための方策、その後の食品消費の健康的な効果など、多様な要素に至るまで関連性があります。しかしながら、食品・農業分野のLCAでは不確実性があるため、これまで限定的な事例が多く、俯瞰的な効果の検証が困難な分野でもあります。本セッションでは、さまざまな分野の専門家の発表を募集し、さまざまな要素を横断的に関連づけ、最終的にはわかりやすく消費者に伝えるということ目指します。まずは、環境フットプリント(EPD)等のような指標を基礎にした横断的指標の提案、さらには、それらを1つの評価軸として、生産から最終的な消費に至る要素技術やシステム等を提案し、それらを評価できるような仕組みづくりを行うことができることを目標とします。● 循環型社会とサーキュラー・エコノミー
欧州のサーキュラー・エコノミーが持続可能な消費と資源利用に対する新しい国際的潮流を形成しつつある。一方で日本の循環型社会への取り組みも十数年の経験を積み重ね、新たに「都市鉱山メダル」などの広がりも出てくる中で、「広域マルチバリュー循環」など斬新なコンセプトも提案されてきている。本企画では、サーキュラー・エコノミー等に関する総括的議論だけでなく、リサイクル、リマン、リユース、シェアリングを含む様々な循環要素やそのシステム化および循環システムに置ける価値やマテリアルのフロー分析等についての発表を期待する。● 環境情報の活用~環境ビッグデータの活用に向けて~
これまで日本LCA学会では、ライフサイクルシンキングに基づき、製品製造、企業経営、金融に関する様々な環境情報(データ)の活用し研究を進めてきた。学会設立当初に入手可能な環境情報は極めて限定的なものであったが、設立から13年を経て、入手可能な環境情報は爆発的に増大した。一例を挙げれば、2001年からPRTR制度に基づき事業所単位での化学物質の報告が義務づけられ、2006年からは温対法に基づき事業所単位の温室効果ガス排出量報告義務が課された。これらのデータは開始から10年以上が経過し、学術研究においても十分活用が可能な程度に蓄積が行われるに至っている。また、昨今では省エネ行動の解析において重要な役割を果たすHEMS(Home Energy Management System)に蓄積されたデータのように数億件規模に及ぶ大規模な環境周辺データの蓄積が進んでいる。環境情報研究会では、環境情報(データ)に焦点を絞り、これら環境情報をどのように学術的に活用していくべきかについて議論を進めており、本特別セッションでは環境情報の活用の在り方を検討すべく研究課題を広く募集する。