2018年3月7日(水)~3月9日(金)
早稲田大学 早稲田キャンパス

特別セッション

第13回日本LCA学会研究発表会では、以下の特別セッションを設ける予定です。奮ってご参加下さい。

● 食品・農業分野の横断的LCA

食品・農業分野においては、温暖化と相関があり、そのためのさまざまな対策がとられています。一方、温暖化への貢献も含めた新しい農業技術、品質管理を意識した食品管理技術、さらには産物の付加価値化のための方策、その後の食品消費の健康的な効果など、多様な要素に至るまで関連性があります。しかしながら、食品・農業分野のLCAでは不確実性があるため、これまで限定的な事例が多く、俯瞰的な効果の検証が困難な分野でもあります。本セッションでは、さまざまな分野の専門家の発表を募集し、さまざまな要素を横断的に関連づけ、最終的にはわかりやすく消費者に伝えるということ目指します。まずは、環境フットプリント(EPD)等のような指標を基礎にした横断的指標の提案、さらには、それらを1つの評価軸として、生産から最終的な消費に至る要素技術やシステム等を提案し、それらを評価できるような仕組みづくりを行うことができることを目標とします。

● 循環型社会とサーキュラー・エコノミー

欧州のサーキュラー・エコノミーが持続可能な消費と資源利用に対する新しい国際的潮流を形成しつつある。一方で日本の循環型社会への取り組みも十数年の経験を積み重ね、新たに「都市鉱山メダル」などの広がりも出てくる中で、「広域マルチバリュー循環」など斬新なコンセプトも提案されてきている。本企画では、サーキュラー・エコノミー等に関する総括的議論だけでなく、リサイクル、リマン、リユース、シェアリングを含む様々な循環要素やそのシステム化および循環システムに置ける価値やマテリアルのフロー分析等についての発表を期待する。

● 環境情報の活用~環境ビッグデータの活用に向けて~

これまで日本LCA学会では、ライフサイクルシンキングに基づき、製品製造、企業経営、金融に関する様々な環境情報(データ)の活用し研究を進めてきた。学会設立当初に入手可能な環境情報は極めて限定的なものであったが、設立から13年を経て、入手可能な環境情報は爆発的に増大した。一例を挙げれば、2001年からPRTR制度に基づき事業所単位での化学物質の報告が義務づけられ、2006年からは温対法に基づき事業所単位の温室効果ガス排出量報告義務が課された。これらのデータは開始から10年以上が経過し、学術研究においても十分活用が可能な程度に蓄積が行われるに至っている。また、昨今では省エネ行動の解析において重要な役割を果たすHEMS(Home Energy Management System)に蓄積されたデータのように数億件規模に及ぶ大規模な環境周辺データの蓄積が進んでいる。
環境情報研究会では、環境情報(データ)に焦点を絞り、これら環境情報をどのように学術的に活用していくべきかについて議論を進めており、本特別セッションでは環境情報の活用の在り方を検討すべく研究課題を広く募集する。

● 環境教育

長期にわたってCO2排出削減を促進するためには、将来、社会の中核となる中高生等の生徒・学生に対して、日頃利用している製品やサービスによるCO2排出を理解してもらうことが必要である。そのためには、CO2による環境影響を、製品の使い方など自らのライフスタイルとの関係で総合的に考えさせるライフサイクルの視点を取り入れた環境教育が有効である。ここ数年、LCAのデータを活用するなどした、ライフサイクルの視点を取り入れた環境教育の教材開発や実践事例が増加している。本セッションでは、新たに開発されたライフサイクルの視点を取り入れた環境教育の教材や実践の事例、教育効果の検証やその検証方法の検討などに関する教育研究活動の成果発表を広く募集する。

● 環境負荷削減貢献量評価

温室効果ガス等の環境負荷削減への社会的要請が高まる中で、様々な技術革新が進められています。こうした技術革新による環境負荷削減は、最終製品だけでなく素材や部品なども重要な役割を果たしており、こうした削減貢献を評価するためにはライフサイクルの視点が重要となります。日本LCA学会からも一昨年に温室効果ガス排出量削減貢献量評価ガイドラインを発行し、素材・部品や製品などによる環境負荷削減貢献評価のあり方について議論を進めています。本セッションでは、環境負荷削減貢献量評価の実践と活用方法について議論することを目指し、環境負荷削減貢献量評価に関する手法論や事例報告に関する発表を広く募集致します。

● 将来技術評価

現在、技術評価の動向として、事後評価から事前評価、さらには研究開発段階での評価へと、より早い段階で将来技術の価値を評価することが求められつつあります。そこで本セッションでは、スケールアップや製造技術の変化等、技術の実用化に際して生じる様々な変化を考慮して、将来技術を評価するための方法論について、広く発表を募集致します。また、将来技術のコストやベネフィット、消費者受容性など、多様な評価軸で、将来技術を評価するための手法に関する発表も募集致します。本セッションを通じて、より早い段階で将来技術の価値を定量的に評価し、開発・普及を促進するための方法論、ニーズ、課題などについて広く議論を行います。

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