目的:
近年、様々な企業で環境に関する活動が活発に行われるようになり、企業活動に関する情報がCSR報告書等で開示されるようになっている。また、改正省エネ法や温対法(地球温暖化対策の推進に関する法律)によりエネルギー使用や温室効果ガスの排出量については、法的にも情報開示が必要とされている。さらに最近では、WRI/WBCSDによる企業の温室効果ガスの測定・報告方法を示すSCOPE3ガイダンスの発表や、米国を中心としたサステナビリテイコンソーシアムの活動による製品ごとのライフサイクルアセスメント(LCA)の方法の標準化、カーボンデスクロージャープロジェクト(CDP)による企業への質問とその回答開示など、環境に関する企業活動の開示方法が多様化してきている。
しかし、これらの企業の環境活動に関する情報が、その情報の受け手によってどのように活用されるかについては、まだまだ不明瞭であると言わざるを得ない。一昨年度に、経済産業省が産業構造審議会環境部会の中に「金融市場における『環境力』評価手法研究会」を立ち上げたことにより、企業の環境活動を促進する金融機関の活動が促進することが期待されたが、その活動も継続性を欠いている。
そこで、このような状況を鑑み、企業の環境活動の情報開示の世界的な背景を理解し、開示された情報の使われ方を考えた上で、情報開示の方法論について検討を行うことを目的とする。
活動概要:
研究会を3ヵ月に1回程度開催する。研究会では以下の事項を検討する。なお、検討結果についてはLCA学会年会で発表する。
- 1. 国際的環境情報開示動向の調査
- 先に挙げた、国際的な企業による環境情報開示情報動向について調査・検討を行う。同時に、国内における情報開示動向についても調査・分析を行う。
- 2. 開示情報の活用方法について
- 上記、環境情報開示動向に併せて、開示情報の活用実態について調査を行う。さらに、開示された情報の活用方法についても併せて議論する。
- 3. 企業における情報開示のありかたについて
- 1と2の結果を踏まえ、今後の環境情報の開示のあり方について議論を行う。議論にあたってはLCA学会所属のメーカー等へのヒアリングを通じて、企業の実態に則した開示のあり方を議論する。